第二ボタンと春の風


教室に戻ると、
ホームルームの真っ最中だった。


「おう!おかえり!」

「ただいま」


そう返事をしながら隣に座る。

黒板を見るかぎり、
修学旅行の注意事項を説明しているらしかった。


「中野先生は?」

「職員会議」

「そっか」


私がぼんやりしていたら、
黒板の前にいた勝野が「相沢!」と私を呼んだ。


「へっ?なに?」

「『なに』じゃないって。
お前、仮にも実行委員!」

「……あっ」


あわてて立って勝野の隣に並んだ。


「ったく」

「亜紀しっかりー」

「あははっごめんごめん!」


みんなが笑い声をあげるから、
つられて笑う。


「じゃあー、
班に別れていろいろ確認して」


勝野の号令で、ガタンガタンとみんなが席を移動しはじめた。


「亜紀ちゃーん、こっちこっちい」


ももちゃんに呼ばれて私もとりあえず移動した。


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