第二ボタンと春の風


大会が終わってから、1週間が経過した。

私は今更ながらに部活のパワーを実感していた。

部活がないと夏休み、みんなに会えない。
部活がないと夏休みはむやみに長い。



「暇すぎるー……」


1人で勉強してるのは退屈で、
だけど私の場合、
塾に通うほどでもない。

図書館は遠いし、
外は暑いし、
せっかく日焼けが落ち着いてきたから
これ以上焼けたくない。


「はー」


ため息をついてからノートを閉じた。

ベッドに伏せて目を閉じると、
途端に眠たくなってくる。





本格的にうとうとし出したとき、
枕元に置いてあったケイタイがすごい音で鳴った。


「うっわあ!」


わたわたとケイタイをつかんで通話ボタンを押した。


「もしもし!?」

『……相沢?』

「へ、誰?」

『……おれ。石井』

「石井……なに?どうかしたの?」


ドキンと胸が鳴った。



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