第二ボタンと春の風


夕方、5時。

浴衣を着付けてもらっていたら、
お母さんがあらあと声を上げた。


「やっぱり亜紀身長伸びたわね」

「えっ、浴衣短い?」

「あら大丈夫よ。
一回解いて長さ合わせるから」


水色にピンクと黄色の蝶が飛んでいる浴衣は、去年買ってもらったばかり。


「シャワー浴びてきたら?
体ベタベタしてるわよ」

「うん」


言われた通りにシャワーを浴びて、
髪を乾かし、頭のてっぺんでひとまとめにおだんごに結った。

お母さんに直してもらった浴衣を着る。


「あんまり遅くならないようにね」

「はあい」


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