第二ボタンと春の風


しばらくして中野先生が戻ってきた。

みんなとりあえず自分の席に戻る。
私はまた、石井の隣。


「えーっと、とりあえず今日は特に連絡ないから、下校!部活あるやつは部活頑張れよー。
日直は教室整備して行って……
ああ、また相沢、……と石井か。
よろしく」


起立、礼の号令。

さよーならと言ってから、
窓を閉めたり黒板を消したりした。


「亜紀ーばいばい」

「はいばーい」

「またあしたね!」

「石井も頑張ってー」

「おー」


みんな前のドアやうしろのドア、
(ベランダから他のクラスに行くやつもいたけど)
とにかく教室から出て行ってしまった。


「相沢、部活?」

「ウン。安藤が迎えに来ると思う」


上の方がきれいにならないのを見兼ねて、
石井が代わりに消してくれた。


「ありがと」

「おう」


石井が笑う。
かわいくて困った。


教室には私たち2人だけで、

私は若干の気まずさを感じた。


「……あのさ、相沢」

「え?」

「オレ、オレさ」


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