第二ボタンと春の風
浴衣と一緒にしまってあった下駄を足に突っかけた。


「行ってきまあーす」

「いってらっしゃい」



浴衣で自転車、
っていうわけにもいかなかったから、
夕焼けでオレンジ色に染まった道を歩く。

カランコロン、

足音が響く。


祭り囃子が聞こえる。

同じようにお祭りに向かう人たちの笑い声や、色とりどりの浴衣。


アスファルトからむわっとした熱気。

街路樹から蝉の声。


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