第二ボタンと春の風
石井が何かを言おうとするから、
あわててさえぎった。
「ちょっと……待って」
「……オレ帰るわ。
部活頑張れ」
「……ありがと」
「……うん」
石井は小さく言って、
振り返らずに出て行った。
間髪入れずに、安藤が来た。
「亜紀ーお待たせ!
……ん?どうかしたの?
石井が走って行ったけど」
「あ、安藤ぉ~!
私もうダメかもしんないぃ……!」
たぶん間違いなく、
私の顔は真っ赤だったと思う。
春休みの間石井に会わなかったせいか、
免疫力がものすごく低下してるって、
この数分間で、
よくわかった。
あの目、
あの声、
あの表情。
ドキドキしすぎて死にそう。