第二ボタンと春の風
今だってほら、
さっき石井が何を言いかけたのか
すごく気になってる、
だけど。
続きを知ってしまったとして
それがなんであれ
私の心に影響しちゃったら?
私ぶきっちょだから、
ほかになんにも出来なくなっちゃう。
「よくわかんないけどさ、亜紀」
「うん?」
「私、亜紀はちゃんと向き合わなきゃダメだと思うよ」
「なにに」
「自分の気持ちに」
安藤はそう言ってから、
ニッと歯を見せて笑った。
「それに、石井は亜紀を好きだと思う」
「はあ?
根拠は?」
「放課後ふたりっきりの教室。
黒板の上に手が届かない亜紀。
代わってやらなきゃ守ってやらなきゃ。
『あのさ……オレ、オレ』
オレ相沢が好きだ…!
あのシチュエーションで口ごもるなんて
これしかないっしょ!」
安藤の発言に頭の中が一瞬ショートした。
「ちょっとばか!
居たんならもっと早くに声かけてよ!」
「いやーんお邪魔かと思ってぇ~」
「ばか!本当ばか!」