第二ボタンと春の風
「それで?」
「う、うん……ね」
「じれったいなー、亜紀たち。
くっついちゃえばいいのに」
「てっ適当言わないで!
なんで石井が私と……!」
部活に参加できないことを伝えに行くと、
安藤が昨日ちゃんと帰れたのかって訊いてきたから、
正直に、石井がチャリで送ってくれたと話すと、詳しく詳しく!ってやかましい。
「やっぱ決まり!
亜紀ら両想い、だよ」
「違うって。
石井はみんなにまんべんなく優しいの」
「もー」
安藤は付き合いきれないと首をふりながらため息をついた。
でも本当にそうだって思うの。
しかたないじゃんか。
小学生の時だって、
今だって、
石井は誰にも壁を作らないんだもん。
誰にでも優しい
誰にでも明るい
そんな奴だもん。
「……それより、安藤。
今度の日曜日、部活オフの日、ヒマ?」