第二ボタンと春の風
太陽の光が斜めに差し込むだけの
薄明るい教室。
遠くから部活の掛け声、
吹奏楽部のトランペットや
クラリネットの音。
向かい合う私たち2人。
……ほんと、くやしい。
私ばっかり、ドキドキしてさ、
ばかみたい。
「結び直しだよばか」
「ごめんごめん」
2つにしばっていた髪をいったんほどくと、石井がなにかを小さくつぶやいた。
「え?」
「……いや、お前今日どう帰るの」
「どうって……フツーに歩いて」
「1時間以上かけて?」
「……なにが言いたいの?」
石井は一瞬ためらうように天井を見て、
それから私に言った。