第二ボタンと春の風
見慣れた風景、
見慣れたメンバー、
見慣れた君の顔。
わいわいうるさい教室に足を踏み入れた。
「あー!
亜紀だっおはよ!」
「相沢遅刻寸前~」
「おはよー亜紀ちゃん」
みんなと顔を合わせるのが久しぶりで嬉しくて、
自然に笑顔になる。
「おはよ相沢」
「おはよ石井。
また今年もよろしくね」
「おお」
私は廊下側1番前、
すっかり慣れ親しんだ自分の席に座った。
出席番号1番の宿命ってやつ。
隣は石井。
彼も出席番号1番。
「春休み春期講習とか行った?」
「行かないっしょ普通!
オレはいつも通りサッカーざんまい」
そう言って思い出したかのように、
小さな紙袋を渡してきた。
「へ?」
「期末で負けた罰ゲーム」
「うそ!
ほんとに買ってきてくれたの!」