第二ボタンと春の風


「帰りは?」

「……有無を言わさない感じで送られた」


ぼそぼそ言う私を見て安藤はため息をついた。


「不器用にも程があるっしょ」

「……あっ!」

「な、なに?」

「今の言い方……」

「うん?」

「石井に似てた」


安藤が崩れた。




ガラス張りの天井の向こうは春独特の霞がかった青空。

太陽の光がいっぱいに降り注いでいて
歩いてる人達はみんな笑顔。


こんなオシャレなとこを、
石井と歩けたら幸せなんだろうなあ。


……って!
なに考えてんの私!


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