第二ボタンと春の風


一番ばかなのは私。


こんなことで泣いたりして……


だって、だって

ありがとうって伝えたかったのに

だってだって、

おめでとうって言いたかったのに



『忘れて』

なんて、どうして言うの。

私、どきどきしてたのに



石井、石井、石井。



涙を拭いながら歩いていたら、

向こうから知ってる顔が呑気にチャリでやってきた。



「あれー相沢?
目にゴミ?」

「っちが……、っうわぁぁあん!」


突然泣き出した私を前に、

福島はどうした!?と自転車を乗り捨てるように駆け寄ってきた。


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