第二ボタンと春の風


「……なんで逃げんの」

「……うるさい」


目を強くこする。


「……ボール、危ないだろ」

「……うるさい」

「……泣いてんの」

「っ、うるさい!」


私は石井の胸あたりを押した。


「ごめん」

「なにがごめんなの!」

「だから……
タオルくれたし」

「私は!
石井が!」


好きなの!


……勢いで言いそうになってしまった自分が怖い。


「……い、石井がへんなこと言うから」

「ごめんな」


久しぶりにいっぱい話したから、

緊張して涙が出た。


「泣くなよ」

「涙じゃないもん」

「じゃあなんだよ」

「は……鼻水……?」

「ぶっ、鼻水かよ!」

「ほっといてよう!」


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