第二ボタンと春の風




放課後、麻衣が教室に来た。

私は先生に頼まれて、
プリントをホチキスでまとめているところだった。



「亜紀ぃ!」

「麻衣、どしたの」

「いや、なんか追い掛けられっこしてたって聞いたから」


どうしたのかなぁと思ってねぇ、

そう笑う麻衣は私なんかの数倍かわいい。
まあ禁止の茶髪にはしてるけど、麻衣目当てでテニス部に来る男子は少なくない。


「いっぱいあるねぇ…
あたし手伝うか!」

「まじ!
ありがと!」


麻衣はプリントを5枚順番に重ねながら
教室を見渡す。


「まさか1人でやってたの?」

「違うよー」


中野先生が『仲直りしたならいいよな』と、私と石井に半ば押し付けた仕事だ。


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