第二ボタンと春の風


「石井が先生に呼ばれて、
今いないけど」

「あたし石井クンの顔とかあんまりわかんないなあー」

「そのうち戻るよ」


私は笑いながら軽く返した。

2人でしばらく作業を進めていたら、
石井が戻ってきた。


「あれ、友達?」

「おっそいよ石井!
麻衣が手伝ってくれたんだから」

「ごめんなー。
えーっと、麻衣ちゃん?ありがと」

「ううん大丈夫……っ」


……ん?
麻衣の目、ハートになってない?


そっちに気を取られていたせいで、
手元が狂ったらしい。


ガッシャン!
と嫌な音がした。


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