第二ボタンと春の風


「無理に取ろうとすんな!」


石井は針を取ろうとした私に鋭く言った。

針は思いの外がっちり突き刺さっていて、
いくらかの血も出ていた。


「ど、どうすんのよぉ亜紀!」

「い、石井ぃ」

「……保健室」

「え?」

「え、じゃないっしょ!
保健室行くぞ!」

「はっハイ!」


私は石井に右手つかまれて、
保健室に連行された。


本当ついてない……!


石井、カッコイイ……!




だけどこのとき、
石井をカッコイイと思ったのは
私だけじゃなかったの。


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