第二ボタンと春の風


「……ったく」

「ごめんなさい……」

「もう今日帰れ」



保健室から戻るために廊下を歩く。

保健室の先生は私を見て最初怒ってあとで爆笑してた。



「だって、まだ終わってないよ」

「オレやっとくから」

「……うん」


私が頷いて黙りこくると、
石井はめんどくさそうに唸った。

2人分の足音が廊下に反響してる。


「……じゃあ、待ってて」

「え?」

「お前車に突っ込んだりドブに落ちたりしそうだからなあ。
送ってやるから待ってろ」

「ばかにしてんの!?」

「違うじゃん。
心配してんじゃん」

「……うさんくさい」



悪態つきながらも、
すごくうれしかった。

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