第二ボタンと春の風
そして、3日後。
「亜紀、忘れ物ない?」
「大丈夫。
昨日3回も確認したもん」
「気をつけてね」
「大丈夫だって!
行ってきまーす」
玄関まで見送りに来てくれたお母さんに手を振って、玄関を出た。
今日からとうとう修学旅行だ。
しばらく歩いていたら、
後ろから石井が追いかけてきた。
「はよー相沢。
6時半集合なんて死にそう、オレ」
「電車の中で寝れば?」
「やだよ」
大きな荷物は先にホテルに送ってあったので、
私たちは比較的小さなカバンを持っていくだけでよかった。
この中にはカメラと、ケイタイと、
しおりと、タオルと、それからお財布くらいしか入ってない。