第二ボタンと春の風
集合時間の6時半が迫ってきた。
「相沢、女子の点呼取って。
オレは男子とるからさ」
「ん」
勝野から名簿を受け取って、
順番に確認していく。
「ん、大丈夫そう。
みんないる」
「こっちも大丈夫だった」
見渡すとみんな朝から元気で、
あっちでは大きな笑い声が上がり、
こっちでは軽い取っ組み合いみたいなことが起きていた。
「もー!
福島、やめて!
他の人に迷惑!」
「だってコイツが先だぜ!」
「だめ!」
福島はつまらなさそうにちぇ、と口を尖らせた。
それから思い出したように私を見てにやりと笑った。
「…な、なに?」
福島は「弱みを得たり」、
みたいな顔をして得意げに行った。
「この間大泣きしたのはなんだったんだよー」
「ばか!」
福島の声が思っていたより大きくて、
え、お前泣いたの、なんて、
1組連中に囲まれた。
「ち、ちが…違わないけど!」