第二ボタンと春の風
恥ずかしいから黙っててって言ったのに!
「転んだ?」
「鍵をなくした?」
「電柱にぶつかった?」
っていうか、
どんなイメージなの私って!
「違うんだってば!
福島、覚えときな!」
「へーん、怖くねーもーん」
ケタケタ笑う福島から離れて、
出発の時間を待っていると石井が寄ってきた。
「……俺のせい?」
「ち、ちがうちがう!」
石井はやっぱり俺のせいなんだ、と、
うなだれた。
もー!
本当に、福島!
「大丈夫なの!
ちょっとびっくりして泣いちゃっただけなの!」
「俺があんな言い方したから……」
「私がいいって言ってるんだから、
気にしないでよ!」