第二ボタンと春の風
小学3年生、
はじめて同じクラスになった。
明るくてちょっとバカで
足が速くてサッカーが上手で
おもしろくて、やさしい
……そんな石井にはじめての恋をした。
だけど、
友達も石井を好きなんだってことを知ってしまってから、
なんとなく石井と話しにくくなって。
それで5年生になって、
クラスが離れてしまって
話をすることが減って
気持ちは風化してしまった。
体育館の前で、
担任の中野先生が待っていた。
「おっ相沢、悪いなあ、挨拶なんて。
はいこれ原稿だから」
「はあい」
素直に原稿を受け取る。
原稿に太陽の光が当たってまぶしい。