第二ボタンと春の風
体育館前の手摺りに座って
足をぶらぶらさせる。
新2年生が入場を始めた。
何人かのテニス部の後輩が私に気づいて、
おはようございますのあいさつをくれた。
気持ちは風化した、
……はずだった。
去年の今日、
また隣に石井が座るまでは。
『いし、い!』
『あれーなんか懐かしいなぁ、相沢!
同じ中学で通学路も一緒なのに、
ぜんっぜん会わなかったよなぁ!』
そう言って笑う石井の顔は、
あの小3の笑顔と寸分違わず、
なんともあっさりと、
『 好 き 』が再燃してしまった。