第二ボタンと春の風
「亜紀のオススメなら安心~!」
麻衣が照れたように笑った。
なにか言わなくちゃって思ったけど
声が出なかった。
「麻衣ちゃーん、
先に部屋行っちゃうよー」
麻衣のクラスの子が麻衣を呼んだ。
「すぐ行くぅー!
じゃあまたね、亜紀、のぞみ!」
麻衣は私に大きなショックを残して、
その子たちと部屋に行ってしまった。
小柄な麻衣の背中を見送る。
かわいいなぁ、麻衣。
ガラスに写った自分。
……かわいくないなぁ。