第二ボタンと春の風


1人しおれていたら、
安藤が怒鳴った。


「亜紀!
あんた、なんで!?
どこまでバカなの!?」

「だって、だって………!」

「私も好きなのって!
言わなくちゃだめじゃん!」

「言えるわけないでしょ!」


負けじと言い返した声が響いた。

安藤が身をひく。


「言えるわけなかったじゃん!
こんなところで好きとか嫌いとか……っ
私だってもういっぱいいっぱいなの!
わ……、わかってよ、安藤……」

「亜紀……」




ばか、ばか、ばかみたい。

泣いちゃダメだよ、亜紀。

またみんなを困らせちゃう。


そう思うのに、変だな、止まらないの。

勝手に溢れ出て、

世界がゆがむ。


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