第二ボタンと春の風


「……オイ安藤、
なに相沢泣かせてんだよ」


しゃがみ込んで泣く私の真上で、固い声がした。


一瞬石井かと思ったけど、

顔を上げて違ったことがわかった。


「あのねぇ、
私が泣かせたんじゃないの!
どこに目ェつけてんの?」

「…………そーだよ……福島。
安藤じゃないよ」


学ランをだらし無く羽織って、

ズボンだって腰パンで、

Yシャツは出てるし、

その下には赤いTシャツを着てる、

校則やぶりすぎの福島。


でも、こんな私を心配してくれた、

なんだかんだ言って優しいやつ。


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