第二ボタンと春の風
修学旅行から帰ってきて、
2ヶ月が経とうとしていた。
2期制の私たちの学校では、
新しい学年になってはじめての
定期テストが迫って来ていた。
「昨日どれくらい勉強したー?」
「昨日……
なんか眠くってさあ、ちょっとだけのつもりが朝まで寝ちゃったし」
ももちゃんの問いに私がそう返すと、
2人で吹き出した。
「私も寝ちゃったよ!
なんか全然受験生って気分にもならないよねえ」
「私なんか、
3年生になった自覚すらないよ!」
騒ぐ私の隣には、
もう 石井はいない。