No Mobile No Life
そして、携帯電話を取り出した。


そのまま、すぐにその電源を入れる。


パールホワイトのボディに囲われたディスプレイに光が灯る。


その時、担任の先生が教室に入ってきた。


しかし、周りで携帯電話を弄っている生徒達は、その殆どが携帯電話を仕舞わない。


授業中に弄るのは抵抗があっても、ホームルームの時に弄るのは抵抗がない人が多いらしい。


そのため、私も構わずに携帯電話を弄り続けた。


他にも同じ事をしている人がいると、何だか心強い気持ちになる。


周りの生徒達が携帯電話を仕舞っていたら、私も迷わずに携帯電話を仕舞っていたくせに。


自分一人だけでなければ、強くなった様に錯覚するのが人間なんだ。


私は少しだけ、可笑しく感じた。


結局、自分の意思がなくて、人目を気にする人ばかりに感じたから。
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