空
「おっす、伊藤!!」
「!お、おはよ・・・。」
山本が朝のあいさつをしてきたが、美桜は恥ずかしくて小声になってしまった。
「伊藤、昨日はありがとな。」
「?なにが??」
『好き』とは言われたが、『ありがとう』と言われるようなことはしていない。
「いや、俺の告白受けてく「ちょ、山本、ここ教室っ!!」
美桜は山本の言葉に慌てて、山本の口を手で塞いだ。
「ぷはっ!伊藤は、バレたくないの??」
「・・・うん、あんまり。噂とかになるのやだから。」
以前、好きだった人を友達に言ったことで、クラス中、いや、学年中に広まったのである。
しかも、その好きだった人は美桜のことを『嫌い』と言い放ったのである。
それから、美桜は『噂』というものは嫌いであった。
「そっか。ま、いいのな!別に知られたくて付き合ってるわけじゃないし。」
山本はそう言うとニカッと笑って、席へ帰って行った。
(・・・あたしって、山本の笑顔に弱いよね・・・。笑)
美桜の顔はよく見なくても分かるほど、真っ赤になっていた。