空
「今回の甲子園、すごく面白くなってるんだぜ!!」
「そうなんだ!」
「おう!今日、決勝なんだけど強豪校対初めて決勝まで進んだ所なのな!!」
「山本は、どっちに勝ってほしい??」
「やっぱ、強豪校だろ!俺、ここのピッチャー憧れてるんだ!!」
山本は、野球雑誌を持ってきてそのピッチャーを指差した。
「あ、かっこいいね!!」
「だろ!俺も、この人みたいに上手にプレーしたいんだ!!」
山本は眼を輝かせながら言った。
「あ、飲み物とかお菓子とか適当に食べていいぜ。」
「ありがとう。」
美桜はコップを取って、一口飲んだ。
「・・・伊藤。」
「ん?なに?」
「今度、野球部の試合があるんだ。応援に来てくれないか?」
山本が真剣な眼差しで言った。
「いいよ、全然。でも、野球のこと何も知らないんだ・・・。」
「知らなくても大丈夫だよ。伊藤が応援してくれるだけで、頑張れるから。」
「な、何言って・・・。」
(山本って、絶対無自覚だよね。こういう、カッコイイことサラリというの・・・。)
美桜は顔を伏せながら心の中で思った。