碧の記憶、光る闇
『あーあ…もっと勉強するんだった。そしたらお医者さんになってさ、お父さんの病院継げたのになあ』

『そう言えば碧のお父さんの病院どうするの?和哉さんも学校の先生になっちゃったし。こりゃ碧が医者の婿養子でも貰うしかないわね』

『やめてよ医者なんかと結婚したくないわ…ねえ静香もっとゆっくり歩いてよ』

足を引きずりながら廊下を歩くので中々前に進まない。

『だから付いて来なくていいって言ったのに…ねえ、碧はやっぱり金沢さんと結婚するの?』

少しトーンを落とした静香の声に雅彦と和哉の顔がだぶる。

『…分からないよ。結婚なんて実感わかないし、雅彦さんだって私の声どう思っているか…』

『あら、そんな事言っちゃって、金沢さんの顔見たら碧に夢中って書いてあるわよ。でも…』

『でも?』

『でも和哉さんが碧を見る目も何か気になるなあ…だってあんた達兄妹って血が繋がってないんでしょ?法律的にはどうなの?血の繋がらない妹が美しく成長した姿を見て兄はたまらず…なんてキャー碧いやらしい!』
< 37 / 111 >

この作品をシェア

pagetop