落書きリレー
ぎゅっと拳をつくって、よし行くぞ、と足を踏み出す。
あ、あの派手な子と目、合った。
げ、あの男子、蔑んだような目でこっち見てくるんだけど。
うわ、なんか、私が通ったとたん、このグループの子たち話しやめたんですけど。
そんな風に心にダメージを負い、心臓に嫌などきどきと、手にはじんわりと嫌な汗を感じながらも、私はなんとか無事に自分の席に着けた。
ふう、と小さく息をつく。
そして、鼻から思いっきり息を吸った。
ああ、美術室の、におい。
絵の具
紙
木
そういうのが、いろいろ混じったような、そんな、におい。
うん、美術室ってかんじ。
このにおいは、なんだか安心する。
なんでかは、よくわからないのだけれど。