君色の空
ひとりで色んなことを考えて、涙目になる頃。

私の気持ちを表すかのような、突然の雨が強く降った。

開け放たれた窓を、慌てて閉めて、窓から見える景色に目を向けた。

どんよりとした灰色の空は、さっきまでの晴れやかな気分を台無しにしてしまう。

ひとつ小さなため息をついて目を伏せると、駐車場の見慣れた車に視線がいった。

白いスポーツカーは、お兄ちゃんの車だ。

白線と白線の中に停まった車から降りてくるふたり。

手をつないで、小走りで病院に駆け込んでいく。

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