君色の空
「渚が入院してから、ずっと考えてたんだ。

渚は母親を知らずに育ったから、悠里に渚の母親になってくれとは言わないけど…、渚のことを頼みたいんだ」

少しの間があってから、お兄ちゃんの言葉は続く。

「俺達男には、話せない悩みもあるだろうしさ」

「私が渚ちゃんの力になってあげられるかは、自信ないけど…。

私も早く結婚したいって思ってたから、そう言ってもらえてうれしいわ」

私の耳は、聞かなくてもいい音まで、入ってくる。


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