君色の空
他の生徒が行き来する玄関先で、家のことをとやかく言われたくない。

「明日忘れたら、家に取りに行くからな!!」

石井センセイの言葉を背中に受けて、私は、

『忘れてきたんじゃないよ。

書けないんだよ!』

と、心の中でつぶやいていた。

私には…。

夢を見る資格がないの。

夢を叶えては、いけないの。

そう。

私は…。

『幸せになってはいけない』

人間なのだから…。




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