君色の空
「式場はもう予約しているから、その日取りは変わらないんだけど…」

と、歯切れの悪い口調で言葉を続ける、お兄ちゃん。

「先に、婚姻届を提出しようと思うんだ」

「え?」

その言葉に、私の眉がピクリと反応する。

「式の前に、戸籍上の夫婦になろうか? って、昨日悠里と相談して決めたんだ」

もう、妻です。って顔をして、お兄ちゃんの隣に立つ悠里さんの笑顔が、気に入らない。

病室でのやりとりを思い出した私は、気分が悪くなってくる。



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