君色の空
お兄ちゃん達が病室を出て行き、訪れた静寂の居心地の悪さに、私は病室を後にした。

そこに行こう!と、はっきりとした目的があったわけではなかったけれど、私の足は確実にある場所に向かって、歩き出していた。


目の前の重い扉を、力を入れて押した。

わずかにできた隙間から、明るい光と、新緑の爽やかな風が吹き込んでくる。

私は少しだけ笑顔になって、全身で扉を押した。

開け放たれた空間は、私に自由を示してくれた。

窮屈な日常から解放されて、私は両腕を広げて風を感じた。



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