君色の空
「モモちゃん、私にお母さんがいないの知ってるよね?」

「ああ…」

教育実習生とはいえ、クラスの副担任なんだから知らないはずがない。

急にお母さんの話を始めた私に、怪訝そうな顔をして見つめるモモちゃん。

「…なんでか、知ってる!?」

どんなに親しい仲になっても、今まで誰にも話したことのなかった、私の闇の部分。

「いや…」

小さくつぶやくモモちゃんに、私はゆっくりと話し始めた。

自分の過去を自分の口で明かすのは、息苦しいことだった。



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