君色の空
モモちゃんは、何も言わなかった。

その先に続く言葉が想像できて、何も言えなかったのかもしれない。

「そうして、産まれたのが私だったの…」

私はゆっくり目を閉じた。

ガックリと肩を落として、病室の床に手をついて男泣きに泣く、お父さんの姿が目に焼きついていた。

「お母さんは自分の命と引き換えに、私を産んだの…」

『私さえいなければ…』

ずっとそう思って生きてきた。

『もしかしたら、今もお母さんは生きていたのかもしれない』

ひとつ歳を取る度に、お母さんの命の重みを感じる。



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