君色の空
あの日の恐怖心は、相手がどんな姿になろうとも、簡単に消せるものではない。

「叔母さん、妹がこの世からいなくなって、本当に悲しかったの。

毎日、泣いて過ごしたわ…」

どこか遠い目をして、昔を懐かしむように、天井を仰いでいる叔母さん。

「そんな話、聞きたくないです…」

そう言うのがやっとだった。

聞きたいのは言い訳じゃなくて、あの日の真実。それだけ、なのだから。

「いいえ。渚ちゃんには聞いて欲しいの!」

叔母さんは強い口調で、そう答えた。



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