君色の空
私は、その手をつかむことが出来なかった。

トイレではなく、どこか違う所へ連れて行かれるような気がして、絶対に嫌だったんだ。

『ひとりで行ける!!』

その手を払いのけて、私はお兄ちゃんに助けを求めた、…気がする。

お兄ちゃんと手をつないで、部屋に戻ると、事件は起きていた。

真っ先に飛び込んできたのは、背中を丸めて頭を下げている、お父さん。

その場の空気もお構いなしに、怒りをぶつける叔母さん。

自分のとった行動が、叔母さんを怒らせたのだと、まだ気づいていない私は、お兄ちゃんの手をギュッと握りしめた。



< 172 / 230 >

この作品をシェア

pagetop