君色の空
今はそれも、お互いの些細な気持ちの行き違いが巻き起こした出来事だったのだと、思うことができた。

私は、頭を上げた叔母さんに笑いかける。

あの日の私が出来なかった、とびきりの笑顔を叔母さんに向けたのだ。

叔母さんは私に、ただ笑って欲しかったと言った。

私はずっと、笑顔は作るものだと思って今まで生きてきた。

だから、誰かの自然な笑顔も、ファッション雑誌の中で微笑むモデル達のように、作られた笑顔だと思ってきたのだ。

叔母さんが目を細めて私の頭をなでてくれた、あの日の笑顔も、作り笑いだと思ってしまった。



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