君色の空
「渚、お家の人が心配してるよ。

さあ、お家に帰ろう?」

そう言って、モモちゃんは私に右手を差し出した。にっこり笑って。

「タケお兄ちゃん!?」

ゆっくりと頷く、モモちゃん。

「武生兄ちゃん!!」

私の中で、バラバラのジグソーパズルが一つの絵になるように、組み合わさっていく。

まるで、あの日の風景が蘇っていくように、私は忘れていたことを思い出していく。

家の近くの、公園にあるブランコ。

それは、私が誰にも知られずに泣きたい時に向かう所だった。



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