君色の空
「本当ならもっと早く、私達で解決しなければいけない問題だったのに。

武生くんやお義姉さんまで巻き込んでしまって、本当にすみませんでした」

お父さんは、あの日と同じように背中を小さく丸めて、二人に頭を下げた。

「すみません…」

続けてお兄ちゃんも、頭を下げる。

あの日の場面が、再現されたようだった。

あの日のように胸が苦しくなる私。

あの時つないでいた、お兄ちゃんの手の温もりだけが、唯一心の支えだった。

あれ!?

目の前でお兄ちゃんが頭を下げているのに、私は誰と手をつないでいたんだろう?



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