君色の空
「そんな必要ないよ」

私の口は自然と動いて、そう言葉を紡ぎ出した。

「渚ちゃん!?」

悠里さんだけじゃなく、お父さんやお兄ちゃんまで、びっくりした顔をして私を見つめた。

今日の私は、『みんなをびっくりさせる日』らしい。

「悠里さんは、もう私の『大切な家族』ですから」

「なぎさ、ちゃん…っ」

悠里さんは私の一言に、両手で顔を覆って、

「…あり、がとう…」

と、つぶやいた。

その声は震えていて、その声に私も泣き出しそうだった。



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