君色の空
「も、もちろん!」

顔を上げて、悠里さんは私に微笑んでくれた。

私はこの手に、ようやく幸せを掴んだ気がしていた。

後ろ向きな人生に別れを告げて、今私は前を向いて歩いていくことを、心に誓ったんだ。

窓から差し込む、柔らかな光が病室を包み込んだ。

それは、お母さんの胸に抱かれているような、安心感さえ与えてくれる。

街の中に消えていく夕日が、今日はやけに神々しく見えて、やっぱりお母さんに抱きしめられているんだと思った。

「母さんが笑ってるみたいだな…」

私と同じようなことを、お父さんが口にした。



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