君色の空
「渚!?」

「モモちゃんだったんだよね!?」

時間と共に、ゆっくりと思い出されていく記憶。

曖昧だった部分が思い出せた時、私が一番強く感じたのは、モモちゃんに対する感謝の気持ちだった。

「私の手をつないでいたのは、ずっとお兄ちゃんだと思ってた。

でも本当は、『武生兄ちゃん』だったんだよね!?」

怒られている二人の背中に不安でたまらなかった私の手を、背後から強く握りしめてくれたのが、モモちゃんだった。

びっくりして顔を上げた私に、『大丈夫』という言葉の代わりに、向けてくれた笑顔。



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