君色の空
『そうなんですか?』

どこか人事のように感じながら、相づちを打つ私に、何も覚えていないことを悟った叔母さん。

『あなたは、人の顔を書くのが好きでね。

ノートにはたくさんの笑顔があった。

私はね、あなたが妹の顔を書いているんだと思ったわ。

でもね、違ったの』

一息ついた叔母さんは、私を見て微笑んだ。

『あなたは、あなたの顔を書いてたのよ?

ノート一冊分、全部があなたの笑顔で埋め尽くされていたの』

と、その絵を思い出したかのような、優しさ笑顔を向けてくれた。



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