君色の空
『薬で散らして下さい!』

往生際の悪い私は、そう先生に懇願する。

すると先生は、

『散らす時期は、もう過ぎちゃったね…。切るしかないんだよ?』

優しい笑顔と言葉で、残酷なことを言う。

『三船さん。ずっと、お腹痛いの我慢してたんでしょ!?

薬で散らしても、痛いのは治らないから。

ちゃんと切って、治そうね!?』

聞き分けのない子供をあやすような口ぶりで、先生は私に同意を求めた。
『はい…』



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