君色の空
それから、『お腹が痛い』とは言えなくなった。

とは。

口が裂けても言えない、事実。

「我慢するほど痛いと、感じてなかったんだけどね!?」

とぼけたフリをして、そう答えた。

「渚は、神経が鈍いんだよ!!」

暗い雰囲気を払拭するような、お兄ちゃんの笑い声が響く病室。

「お兄ちゃん、うるさいよ!!」

私も笑いながら、明るく答えた。

「…まったく…」
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