君色の空
「そのことなんだけどね…」

と、口を開く早苗。

そっか。

報告に来たんだね?

私は早苗の次の言葉を予想して、喉の奥に、ゴクリと唾を飲み込んだ。

「まだ返事してないんだけどね…。

断ろうかと思って…」

うつむき加減に、早苗は答えた。

それは、私の想像とは全然別のものだったから。

「なんで!?」

素直に聞き返す、私がいた。

「だって、イヤでしょ!?
アタシが、慎一くんと付き合ったりしたら?」
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